もぐもぐと独逸

ならでは食と独逸物語。

りつ@ドイツ

りつとナツさんの喜怒哀楽の物語。体験に基づいて作ったフィクション。

008 うどんを打つ男

ある日曜日のことである。朝目を覚ますと、キッチンから、どおんどおんと音が聞こえる。 つい30分前には、小さな愛息コナツを挟んで、相方のナツさんが寝ているのを、薄目で確認したばかりだ。それが、今はいない。 コナツを真ん中にベッドで川の字に寝てい…

007 ポルトガル美食記 before corona ー七月のロカ岬と鱈のグラタン

風が強く吹いていた。私たちは今バスの二階席にいる。 旅も終わりに近づいていた。明日朝には空港に向かうので、ポルトガルを楽しめるのは今日までだった。せっかくこの国に来たのだからユーラシア大陸最西端の岬、ロカ岬には行かねばと、バスに乗り込んでい…

006 ポルトガル美食記 before coronaーカスカイスの地元食堂

ナツさんは美味しい店を探しあてるのがうまい。リスボンを離れてカスカイスに来たときもそうだった。 「観光地化した町ではさ、だいたい街の中心部から外れたところに旨い店があるんだ。そういうところに地元の人たちが通うんだから。」 と、熱っぽく語った…

005 ポルトガル美食記 before corona ーカステラの原型とオレンジジュース

パオン・デ・ロー ベレンに到着した私たちは、発見の塔に向かいながら、カステラの原型になったパオン・デ・ローが食べてみたくて、お店を探していた。美味しい店がきっとあるはずだけどどこに行けば食べられるんだろうかと、ゴソゴソとスマホを取り出しなが…

004 ポルトガル美食記 before coronaー鰯、鱈、蛸!

ベレンに行く前に 旅全体にいえるのは、とくに食についてよく調べないまま旅をすると、ときどき致命的な事態を招くということだ。リスボン名物のエッグタルト、パステル・デ・ナタの元祖を食べるべきだったと、今も悔やんでいる。ジェロニモス修道院の秘伝の…

003 ポルトガル美食記 before coronaーカフェ「ア・ブラジレイラ」

誤算 ベビーカーを持ってきたのは、旅で楽をするためだ。小さい子どもを抱っこするより乗っていてくれたほうが体力を消耗しない。でもそれはあくまでドイツに限定すれば、という話だったらしい。 ポルトガルに到着してから数時間後、ナツさんと私は、自分た…

002 ポルトガル美食記 before coronaー無計画な旅支度

無計画な旅支度ー期待と不安 長期休暇の前日になると、仕事も終わらないうちからソワソワとして、昼過ぎには鼻歌を歌いながら帰ってしまう。ここドイツでは、そんな人を何度か目にしたことがある。ウアラウブ(Urlaub)と呼ばれる休暇って、人々にはとても大切…

001 結婚は食バトル ードイツ朝食でドラフト開始

ドイツにもモーニングがある。パンやチーズや卵が大きなお皿に盛られていて、見た目にお洒落だなあといつも見惚れてしまう。 ドイツに来て間もない頃、わざわざ地下鉄に乗って、とあるカフェによく朝食を食べに行った。この朝ごはんは、バスケットいっぱいに…