ほっぺたの向こう

食にまつわるあれこれ.

物語 ほっぺたの向こう

独逸物語。フィクション。

アルザス美食記ー 旅の準備 脳内指令「物見遊山を圧縮せよ」

今週のお題「おとなになったら」 「有名ドコロだけ!」を卒業 あそこも見たい。ここも見たい。プランを練って、短い時間でいかにたくさん名所を巡るか。タイムリミットのある中で、どうすればショッピングを楽しめる? お土産はどこで買おう。誰に渡すべき?…

2.ママのつぶやきー子育てにマシュマロ入りココアは夢である。

育児中のママが、予定調和な日々を過ごすことはほとんど不可能なのに、私ったらノルマで動こうとするのだ。これは、好ましくない。語学や仕事の勉強で自分にノルマを課してこなそうとしても、一歳児は泣くし四歳児は騒ぐしで、達成できない。その日にする家…

1.食うか食われるか ドイツ的プリンパンPuddingbrezel 争奪戦

雲井夏樹はあまり甘いものを食べない。 嫌いなわけではない。たとえば彼は、雲井家が日本から持ってきた貴重なお菓子を監視している。監視していると書いたのは、日本から持ってきたその貴重なお菓子を、私が離さないからだ。いつも手に握りしめているわけで…

うどんを打つ男

ある日曜日のことである。朝目を覚ますと、キッチンから、どおんどおんと音が聞こえる。 つい30分前には、小さな愛息コナツを挟んで、相方のナツさんが寝ているのを、薄目で確認したばかりだ。それが、今はいない。 コナツを真ん中にベッドで川の字に寝てい…

ポルトガル美食記 before corona ー七月のロカ岬と鱈のグラタン

風が強く吹いていた。私たちは今バスの二階席にいる。 旅も終わりに近づいていた。明日朝には空港に向かうので、ポルトガルを楽しめるのは今日までだった。せっかくこの国に来たのだからユーラシア大陸最西端の岬、ロカ岬には行かねばと、バスに乗り込んでい…

ポルトガル美食記 before coronaーカスカイスの地元食堂

ナツさんは美味しい店を探しあてるのがうまい。リスボンを離れてカスカイスに来たときもそうだった。 「観光地化した町ではさ、だいたい街の中心部から外れたところに旨い店があるんだ。そういうところに地元の人たちが通うんだから。」 と、熱っぽく語った…

ポルトガル美食記 before corona ーカステラの原型とオレンジジュース

パオン・デ・ロー ベレンに到着した私たちは、発見の塔に向かいながら、カステラの原型になったパオン・デ・ローが食べてみたくて、お店を探していた。美味しい店がきっとあるはずだけどどこに行けば食べられるんだろうかと、ゴソゴソとスマホを取り出しなが…

ポルトガル美食記 before coronaー鰯、鱈、蛸!

ベレンに行く前に 旅全体にいえるのは、とくに食についてよく調べないまま旅をすると、ときどき致命的な事態を招くということだ。リスボン名物のエッグタルト、パステル・デ・ナタの元祖を食べるべきだったと、今も悔やんでいる。ジェロニモス修道院の秘伝の…

ポルトガル美食記 before coronaーカフェ「ア・ブラジレイラ」

誤算 ベビーカーを持ってきたのは、旅で楽をするためだ。小さい子どもを抱っこするより乗っていてくれたほうが体力を消耗しない。でもそれはあくまでドイツに限定すれば、という話だったらしい。 ポルトガルに到着してから数時間後、ナツさんと私は、自分た…

ポルトガル美食記 before coronaー無計画な旅支度

無計画な旅支度ー期待と不安 長期休暇の前日になると、仕事も終わらないうちからソワソワとして、昼過ぎには鼻歌を歌いながら帰ってしまう。ここドイツでは、そんな人を何度か目にしたことがある。ウアラウブ(Urlaub)と呼ばれる休暇って、人々にはとても大切…

結婚は食バトル ードイツ朝食でドラフト開始

ドイツにもモーニングがある。パンやチーズや卵が大きなお皿に盛られていて、見た目にお洒落だなあといつも見惚れてしまう。 ドイツに来て間もない頃、わざわざ地下鉄に乗って、とあるカフェによく朝食を食べに行った。この朝ごはんは、バスケットいっぱいに…

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