プファンクーヘン。ドイツ風厚焼きクレープ
昨年の春先に、デュッセルドルフ市内のカフェで、シナモンが誇らしげにふりかかる林檎の厚焼きクレープを食べた。しっとりとした生地に埋めこまれた林檎の薄切りは甘すぎずべたつきもなく、全体に優しく焼いてあった。奇跡のようなPfannkuchen プファンクーヘン、直訳フライパンケーキ。
何が奇跡って、生地の焼き加減と油のほど良さだ。このお店は毎回違う人が作っているのか味が安定していなくて、生地がゴワゴワしていたり、オリーブオイルでベタベタしていたりすることもある。(それでも美味しいのだから不思議!)
それが、この日はなんて素敵に焼けているんだろう。おみくじで大吉を当てた気分。
焼かれた林檎の甘味酸味、シナモンとの相性が絶妙で、お砂糖も少しまぶしてあって、口の中にじわじわと甘さが広がっていく。
プファンクーヘンは新鮮な果物やホイップクリームを巻いて食べることもあるみたいだけれど、まるくて平たくて生地に火を通して埋めこんである林檎は、あったかくてほっとする味がして、おなかにも優しい。
だんな氏は、ベーコンとチーズが乗っかったピザ風プファンクーヘンを注文。クレープ生地がほんのり甘くて柔らかなので、ピザとはまた違った味になる。バリバリのピザを朝から食べるのは重たい。この柔らかさが、食べやすさにつながっているのだと思う。ドイツといえば、じゃがいもやソーセージを思い浮かべるけど、こんなに軽くて朝食や軽食に向いた食べ物もあるのだ。
プファンケーキの作り方
なにせ行くたびに具合の違うプファンクーヘンだったので、おうちで作ろうにもほど良い分量がなかなかつかめなかったけれど、今のところ、この分量が美味しいかな。
一人分の分量
- 牛乳100㎖
- 卵1個
- 小麦粉80g
1.フライパンにバターをしき、林檎のスライスを入れて焼き色をつける。バターと一緒に砂糖をふり入れたあと林檎を焼くと美味しそうだけれど、甘さ控えめが好みなので、おうちごはんではオリーブオイルをしいて林檎を焼くだけにすることもある。2.小麦粉に牛乳、卵を割り入れて混ぜた生地を上から流しいれ、ふんわりと焼くとうまくいく。3.シナモンと砂糖をまぶして、いただきまーす。林檎だけでなく、洋ナシでも合う。
ベルリーナプファンクーヘンとは別物
初めてこのプファンクーヘンを注文したときにイメージしていたのはベルリーナプファンクーヘンというジャムを挟んだ揚げ菓子だった。ベルリーナプファンクーヘンは、大晦日に食べるそう。それが、ノルトラインウェストファーレン州のデュッセルドルフ市内のカフェで、年末でもない日に、メニューにプファンクーヘンを見つけて、注文したのだった。オープンオムレツならぬオープンクレープかパンケーキのようで、揚げ菓子とはまったく別物だった。
これぞドイツというものではないかもしれないけれど、ドイツにはガイドブックに載ってない食べ物が、まだたくさんある。