この一生で、林檎をキロ買いすることなんてないと決めつけていたのだけど、人生、何が起こるかわからない。ドイツに来ると林檎はとても身近で、スーパーで大量に袋売りしていたりするのだ。1キロなんてうっかり買ってしまうと、毎日のごはんで食べないかぎり消費できない! ということになる。
ストウブでできる林檎レシピを調べると、豚肉と林檎の蒸し煮がヒットした。
豚肉と林檎って相性抜群に見える! でもブランデーないなあ。くるみをかけるのは良さそう。赤砂糖か、…ないなあ。
……。
……。
キーボードを打つ指が、表面的な遠慮に反して勝手に動く。もう少し素材の味だけを生かしたレシピはないものかしら。今回は砂糖を使いたくない。
食のプロフェッショナルを育成する「レコールバンタン」の生徒による(中略)レシピコンテストの優勝レシピ。
優勝レシピですって!これは……!
……ごめんなさい! ストウブさんごめんなさい! あなたのことは大好きだけど、ル・クルーゼレシピも良い。というか、今回はル・クルーゼが良い。必要なのは肉と野菜と塩、胡椒、そしてサラダ油だけ。これ大事。お砂糖やブランデーなしで作れるのだ。こういう職人技の鍋には素材の味を引き出すことを求めているんだから…!
ということで、ル・クルーゼのレシピを見ながらストウブのピコ・ココットで作ったのがこちら。アスパラガスとトマトを切らしていて、赤と黄色のパプリカを入れてみたら、美味しかった。食材には芯から火が通っている。わずか50ccの水で、林檎と玉ねぎの甘味が楽しめるのが嬉しいし、豚肉との相性が抜群だった。これにミニトマトの甘酸っぱさやアスパラの独自の風味が合わさると、味がぐっと良くなる気がする。どんな味になるんだろう。次回はきっと入れよう。緑が足りないのでアスパラを入れる代わりにルッコラという少し苦味のある葉野菜を乗せて食べたら、甘みと苦みがマッチして、これは正解。
ちなみにドイツのスーパーで売っているお肉は匂いがきついので、塩やこしょう、ハーブは必須アイテムになる。
ストウブの謳い文句で いちばん惹かれるのは、食材の水分を蒸気にかえてお鍋の中で対流させるというしくみ。水分が、蓋の裏にあるいくつもの丸いふくらみから、まるで雨のように食材に降り注ぐというのがとてもいい。その雨は、素材の旨味をたっぷり含んでいるはず。
とはいえ、ル・クルーゼのお鍋って女性的なデザインと言われていて惹かれるし、レシピはとても良さそうに見えるしで(実際とっても良かった)、ホームページのレシピをじいっと見てしまう。さらに浮気してしまいそう。